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不動産賃貸業、一対一適応を厳守する
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2017.07.29 Saturday 23:02
不動産賃貸業、一対一適応を厳守するについて詳しく
一般企業を例にとると、
取引先と結託し、架空の売上をいったん期末に計上し、
翌期首に返品で戻し、帳尻を合わせるという例が、
しばしば行なわれたりします。
往々にして発生する不正経理、
不祥事の数々を思い起こせばわかるように、
私達は、融資を受けようとすると、
どうしても業績をよく見られたいという意識が出てきます。
しかし、満額融資を引き出したいという欲求にかられて、
利益を始め、すべてのものをよく見せたいと思い、
不動産投資の業績を実力以上によく見せようと見栄を張れば、
数字は事業の実態をあらわさないようになって、
ぜい肉ばかりがつき低迷しやすくなります。
例えば、7月分の家賃として、60、000円が
振込入金された場合、
左側に普通預金60,000円、
右側に賃貸収入60,000万円と仕訳します。このように、同時に二つの記入するものが複式簿記の考え方です。
右と左で、一対一適応させることが大事で、
これは、どんぶり勘定の対極になります。
具体的に、私のところにも過去に、
今月の支払い対象の家賃が43万円あるが、
法人契約の入金が遅れている関係上、
とりあえず30万円だけ振り込ませてしていただけないかと、
管理会社から依頼されたことがあった。そこで私は、その30万円は、誰と誰の賃貸料で、
何月分のものかを明らかにしたかったので、
その担当者にどなたの入居者のいつの分ですかということを、
聞いたのです。その30万円の出所を明らかにする必要があると思ったのです。
物とお金は、一つ一つ対応させることが基本ですが、
私たちは忙しさにかまけて、
この分を、ついあいまいにしがちです。例えば、Aさんの分、Bさんの分と個別に適応させて、
それらを合計すれば30万円になるなら、
その分を受け取るようにしなければ、
後日、トラブルのもとになることは明白なのです。
月末に振り込まれなかった家賃を回収する場合でも、
この入居者の入金があった、あの入居者の入金があった、
というように、一つ一つ消し込みしますよね。
グロスで30万円というような、
ラフな消し込みはできないはずです。入金の場合だけでなく、支払いの場合でも、
同じで、一対一適応でしなければ、
正確な処理はできないことになります。工事代金を支払う場合でも、
工事が終わるその都度、
何月何日のリフォーム代金を、
今回お支払いしますという具合に、
一つ一つ対応させるはずです。これを一対一の適応の原則と私はよんでいます。
繰り返しになりますが、
グロスで修繕費が何万円というようなラフな払い方ではなく、
必ず一つ一つの対応を守るようにしなくては、
信頼に値する正確な帳簿は作れないばかりか、
経営上の間違いが起こり、
後日トラブルの元になりかねません。企業でも、実務上はこういうケースは多いようで、
一対一で消し込みが行なわれないと、
トータルとしての数字は把握できますが、
どの分が回収されたのか、
遅れているのか残高の明細があやふやになり、
どんぶり勘定になっていきます。
その結果、事業の信頼性がなくなっていくのです。
賃貸業を始めた頃、取引記帳などに、
懸命に努める大家さんもいるとは思いますが、
なかなかうまく覚えられず苦労することがあると思います。
一対一適応とは、モノが動くときには、
必ず取引事実を記録する最低限のメモや請求書が
一対一対応で付いていなければならないというものです。
左に入金が記録されると、
右にも必ず記入される、というように、必ず両方が対応されて
記入される。たとえば、物を仕入れて売る、小売業でも、
一対一適応というのは、
物を先に仕入れるという根拠があって、
後で売上という結果があります。一つの取引があれば、根拠と結果があります。
これは必ず、仕入が先で売上(家賃入金)が後になるわけで、
大企業などがよくやるように、先に売上があって、
後から仕入を記帳して、つじつまを合わせるということは、
あってはならないでしょう。
賃貸経営で、この1対1適応の原則の習慣を徹底させると、
一つ一つの取引記録の数字の積み上げが、
そのまま賃貸業全体の業績を表すことになり、
決算書の数字が賃貸業の真の姿を表すことになります。どんな事業でも、お金を支払う場合でも、受け取る場合でも、
1対1対応がなされていなければならないはずです。
先に売上が記入され、後から仕入が記入されることが、
一般企業でも起こりがちなのは、
この一対一適応という視点が欠けているのでしょう。こうなると月ごとに、決算の結果がばらばらになって、
業績が極端に良かった月と、悪かったりする月が出て、
正しく経営実態が表されなくなります。家賃収入を計上すると同時に、
それに対応する経費を同時に計上したいものです。
家賃収入と経費は、セットです。これは、ワンセットで計上する。
さもないと家賃収入だけ上がって、
経費が上がっていないと、
その月は利益が過大になるわけです。
逆に家賃入金が入っていないのに、
経費だけが上がっていると、その月は、損が過大になってしまいます。
これでは、月によって利益が大きくなったり、
少なくなったりでバラバラになってきます。これではせっかく損益計算書を作っても、
意味がありません。必ず一つ一つ適応させて、収入と経費は、
セットで計上したいものです。もし、この損益計算書を見て、
利害関係者に間違った判断を下されてしまえば、
大家さんの賃貸業の格付けに影響を及ばしかねません。
賃貸業が大きくなり、金額が複雑になって、
税に対する難易度が増してくれば、
そんな時、この一対一適応は重要性を感じます。
小さな間違いの積み重ねが大きな金額になり、
それが継続することにより、
賃貸業の発展に大きな影響を及ぼしかねません。
まとめ発生したすべての事実を即時に認識し、
ガラス張りの管理のもとに置くことで、
物だけが動いたりすることがないように、
物が動けば同時に書類も動く。
ということを徹底させることが重要になるのです。
この経費は、どの家賃のものと結びつくのかです。
そして、この家賃入金に対する経費は、
全部上がっているかです。
このようなことを常に考えながら、
賃貸経営をしていきたいものです。この一対一適応させるという視点を持って、
ことにあたれば、賃貸経営の資料は、誰が見ても、
信頼に値するきちんとした資料になります。こうすることで賃貸業の数字が、
信頼性があるものとなり、
それにもとづいた決算書が賃貸業全体の、
真の姿を表すようになります。
ものの動き、お金の動きがすべて、
1対1で処理されているということは、
賃貸経営の実態をフェアになっているわけで、
正しいことを正しくやることは、
単純なことのように思えますが、
これらの積み重ねで可能になるわけで、
一対一 適応がどれほど大切なことであるかは、
企業の過去の不祥事が物語っており、
裏を返せば、一対一の応対ができていることは、
外部から信用されることにつながりますね。
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